限りなき夏というタイムマシーン
若きころ読み耽っていた作家の本をひさしぶりに読んでみた。
あえて読まないようにしていたけど、読み進めていくうちに
やっぱり・・・
あの頃のさして気にも留めていなかった
友人とのちょっとした会話やシーン、
その当時、つきあっていた人、
なにげない風景、匂いが急激によみがえってきた
あえて読まないようにしていたけど、読み進めていくうちに
やっぱり・・・
あの頃のさして気にも留めていなかった
友人とのちょっとした会話やシーン、
その当時、つきあっていた人、
なにげない風景、匂いが急激によみがえってきた
片岡義男
かなり好き嫌いがはっきりと分かれる作家さんではないかと思いますが、
特に自分と同世代のバイク好きな方は読まれていた方も多いかと思います
自分はバイクには乗れませんが
この作家の本を読むと無性にバイクに乗って
あてもなく出かけてみたくなります。
キャンプツーリング・・
時間とお金があれば・・ぜひトライしてみたいです
当時、中でも特に波乗りの描写、ハワイのローカルな風景等を
文字で独特な感性で表現していたこの作家の本が大好きでした。
実は最初読んだときはなんか登場人物がすべてクールな感じで
文章にもクセがある感じがして
なんだこれ、あまり面白くないな・・と感じていたのですが
なぜでしょう、・・いつからかどっぷりはまってしまいました。
結構な数の著書があり、映画化されたものもいくつかありますが、
特に、波乗りや夏、旅や島、等を題材としたいくつかの本の内容は
自分が夢見てあこがれた日常そのもので、
その後の自分の生き方に対する考え方に多大なる影響をもたらした
と言っても過言ではないくらいです。
先日TVである歌手が
もしタイムマシーンがあるとしたら歌はそれに近いものがある、みたいな事を
言っていたけど、なるほど 確かに当時聞いていた歌を聴くと、
その頃の記憶や匂いまでも一瞬でよみがえることがあるなぁ・・
でもそれは歌だけではなくて本にも似たようなことがあるということが
この本を読んでみて気がついた。
この本を何度も繰り返し読んでいた頃・・・
暇さえあれば海や野山にと繰り出して
飽きもせずキャンプやBBQ・・
海に行ったときは海辺で焚き火しながら色々焼いて
何故か欠かさず定番だった豚汁
いつも焚き火の灰が風でたっぷり入っていたけど、
「灰も野外料理の調味料だ」と言いいながら作ってくれマメだった仲間達。
この頃の経験がきっかけか定かではありませんが
その仲間の多くが料理人の道へ。
波がなくなれば夕方にサイズアップを期待し、フッと静かに各々昼寝したり本を読んだり・・
そんな時に何度も読んだ 「限りなき夏1」という本
この本はパート1で続きの2や3がありません
初版発売から32年経つ今でも未完のまま・・。
まさに終わりのない、限りなき夏状態のまま・・
って、まさか最初からそういうオチの本だったのか?
限りなき夏2につづく・・と書いてありますが・・・・・
すでに絶版。
この本を開き読み進めていくと、あの時の海と豚汁とBBQのいぶさとが混ざった
なんともいえぬ自分にしかわからない懐かしい匂いを間違いなく感じられる
あの頃よりはたぶん火と炭の扱いはうまくなったと思うけど、
今ではひとり、ポツーン・・でこんな所でジュージューしております
近々、又再会できる機会が持てそうだけど、
かなうならあの頃のようにみんなで一度、
今ではプロの料理人達の絶品キャンプ料理を
焚き火しながら飲んで味わいたいなぁ・・・。
自分は・・・火の当番します!
灰は・・・
あえて入れちゃうかも
淵は陽に焼け中まで黄ばみカバーはくたびれ気味のこの本は
あの頃の亡き友人や仲間達との記憶をよみがえらせてくれ、
どこかに置き忘れてきた自分を
ちょっぴり取り戻せるような気にもさせてくれる
そんな
タイムマシーンのようです。